「絶対に勝たなければいけない試合で負けた。非常に悔しい。その一言です」

 試合後に侍ジャパン・小久保監督が辛くも声を絞り出した。
開催国として第一回プレミア12の優勝が期待された中で、韓国に逆転負けを喫し準決勝敗退。自分も野球ファンとしてとても悔しかった。ここでは日本のプレミア12敗退の原因を、解決策を自分なりに考えていきたい。

           日本3-韓国4   

 













韓国













日本














  試合概要
 
 韓国がイデウン、日本が大谷の先発。日本は4回裏、先発イデウンから平田のタイムリー、坂本の犠牲フライなどで3点を先制する。大谷は7回1安打無失点11奪三振と好投するも、韓国は3点を追う9回表、チョングンウの適時打、キムヒョンスの押し出し四球で1点差とする。続くイデホに2点適時打が飛び出し逆転に成功する。韓国はその裏を小刻みな継投で逃げ切った。

 ≪疑問1・大谷翔平は続投させたほうがよかったのか?≫
 この試合後、なんjなどの掲示板や野球コラムを見ると、「大谷続投させとけよ」、「何で大谷変えたんや?」、「決勝はもう投げないのだから完投もできた」といった批判がよく見られた。
 確かに、7回を投げ終えて85球と、球数自体はまだ余裕があるように見える。ヒットも一本しか打たれていないので、続投させた方がいいと思うかもしれない。
 しかし、この意見には大谷の続投は難しかったと否定したい。
7回表、大谷は先頭の1番・チョングンウに初球の真ん中高め、149キロまっすぐを綺麗にセンター前に弾かれている。テレビで見ていたが、かなりバットの芯でとらえられていた。コースが甘い分、これくらいの球速だとしっかりミートする力が韓国打線にはある。大谷自身、初回からとばしているのでそろそろ疲労がたまってくるころだ。ストレートの平均球速はこの韓国戦では156.1キロだったが、160キロ近い速球に目が慣れた打者は149キロでも体感として遅く感じるだろう。ましてこの回から相手打線は3巡目に入るので、8回9回を投げるのは厳しかっただろう。
 小久保監督も試合後のコメントで「大谷は7回でいっぱいいっぱいだったのが理由です。当然、代える予定でした。球数関係なくですね」と発言している。これには同感だ。
 
 ≪疑問2・2番手則本は回跨ぎさせる必要があったのか?≫
 この試合、楽天のエース則本は8回を投げ、9回も投げている。
8回表、則本はこの回先頭のパクビョンホ、続くミンビョンホンをともに152キロのストレートで打ち取っている。コースも両方ど真ん中だが則本はコースを狙うというよりは直球で押していくスタイルなので普段通りである。ちなみにその次の打者は155キロで三振に打ち取っている。これを見て状態がいいと思ったのだろうか、小久保監督はこう言っている。
「今日は大谷が6回まで行ったときは、(則本を)2イニングないし3イニングくらいとは思っていたので。状態にもよると思いましたけど。球がちゃんと来ているか、どうか。大谷が7回まで行ったので、8、9回は(則本に)行かそうという話はしていました」
確かに球は走っていたが、負けたら終わりの試合で、3点差で普段先発の投手に9回を任すのは明らかに疑問と言わざるを得ない。試合展開にもよるが、接戦で7~9回のリリーフは一人1イニングずつが基本である。そのためにクローザーに加えセットアッパーがいるのだ。
 仮に譲歩したとして則本続投でも、先頭にヒットを打たれた時点でブルペン待機している投手に交代するのが普通である。中継を見ると、則本がタイムリーを打たれ1点入れられたタイミングで実況が「則本と増井が投球練習を始めたところです」と言っているのだ。実際二人の姿は少し慌てて準備しているように見えた。これは愚の骨頂。続投させるなら9回の頭から違う投手をいつでも行けるようにブルペン待機させておくべきだった。

 続きは(2)で近日中に書く予定です。